2010年世界のBECCS(二酸化炭素固定)プロジェクトの動向

2010年世界のBECCSプロジェクトの動向

 

BECCS(Bio-Energy with Carbon Capture and Storage)は、CO2回収貯留(CCS)とバイオマスの処理又は燃焼を組み合わせた技術である。この技術は、バイオマス由来のCO2排出点源にCCS技術を適用するものであり、化石燃料へのCCSに用いられるCO2の輸送及び貯留技術とおおむね同様の技術を利用している。 
BECCSは、大気中のCO2の恒久的な純減(科学用語でいうネガティブCO2排出)を実現するものである。この観点から、この技術は一時的なCO2シンクの創出や、大気中への排出の削減のみを行う他の多くの削減技術と一線を画している。 
本報告書は、世界各地で初めて実施されるBECCSプロセスの導入を目指す16件のプロジェクトについて記載している。このうち4件は、様々な理由により試行段階のままである。成熟度は異なるものの、7件が調査及び計画段階に入っている。3件の施設が現在建設中で、2011年に操業開始の予定である。また、1件は既に操業中で、研究用パイロットプロジェクトも既に1件完了している。これらのプロジェクトは主に欧州や北米で実施されているが、BECCSシステムの大半は今後、南米、アジア、アフリカにおいて導入されることが予想される。