商業的に利用されるクロストリジウム属菌(セルロース由来のバイオエタノール)

WIKIPEDIAより参照

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AA%E3%82%B8%E3%82%A6%E3%83%A0%E5%B1%9E

 


商業的に利用されるクロストリジウム属菌

C. thermocellum(クロストリジウム・サーモセラム)
好熱性。セルロソーム[注釈 1]という特徴的な酵素複合体[16]を有し、効率的なセルロース分解を行う。また、C. thermocellumのセルロース分解は酸素を要求しない。しかも、この細菌は好熱性であるため、発酵の進行とともに培養槽温度を上昇させる発酵熱を除去する冷却コストを削減することができる。このため、リグノセルロース系資材を基質とした燃料エタノール生産に利用できる。

Clostridium acetobutylicum(クロストリジウム・アセトブチリクム)
アセトン-ブタノール-エタノール発酵を行う。1910年ごろ、ハイム・ヴァイツマン[ 英: Chaim Weizmann ](イスラエル初代大統領)によって発見され、また、火薬とトリニトロトルエンの生産のためにデンプンからのアセトンとブタノールの生物学的生産に用いられた。このため、「Weizmann organism」と呼ばれる。この株は近年バイオブタノール合成の研究で注目されている[17]。

C. butyricum(クロストリジウム・ブチリカム)
本属のタイプ種である。酪酸菌群を含み、整腸剤としても用いられる。腸内常在菌「宮入菌」など有用な株がある一方、一部の株はE型ボツリヌストキシンを産生し食中毒の原因となる[18]。MIYAIRI 588株は、病原菌のC. difficile の生育後期の増殖を阻害するため、日本、韓国、中国で販売されている。

 

C. ljungdahlii(クロストリジウム・リュングダリイ)
好気性のC. ljungdahliiは食用の廃鶏で、合成ガス(化石燃料バイオマスから生じる一酸化炭素と水素の混合ガス)といった単一の炭素源からエタノールを合成することが発見された。このことは、化石燃料バイオマスの非効率的な燃料からエタノールを合成できることを意味する。この細菌を用いた、合成ガスからエタノールを生産する試みは米フェイエットビル (アーカンソー州) で「BRI Energy facility」のパイロットプラントで行われている。

クロストリジウム属菌はガン細胞を選択的に攻撃することが知られており、また、いくつかの菌株は充実性腫瘍へ入り込んで増殖することができる。このため、非病原性のクロストリジウム属菌は腫瘍へと治療用タンパク質の運搬に利用できる可能性があり、実用化に向けた研究が進められている。

病原性クロストリジウム属菌は、近年、医療分野においてその偏性嫌気性菌としての能力を利用したがん治療への応用が期待されている。また、(Shaw 2010)によって、自閉症をもつ小児の尿より本属が作り出す物質3-(3-ヒドロキシフェニル)-3-ヒドロキシプロパン酸(略称:HPHPA) が高濃度で検出される報告がなされ、カビ毒の向神経作用が注目された。