セパテク・マイクロバブルシステムが実現したトリチウムの浮上分離

セパテク・マイクロバブルシステムが実現したトリチウムの浮上分離

https://www.jstage.jst.go.jp/article/sst/5/2/5_137/_pdf

 

1. はじめに
トリチウム(3H)は陽子1個と中性子2個からなる核を持つ水素の放射性同位体であり、水素とほぼ同じ化学的特性を持ち、水分子として存在することが多いために分離が非常に難しい核種として知られる。実際、福島第一原子力発電所の爆発事故により発生した汚染水は現在、多核種処理装置による処理が進んでいるが、トリチウムは大量処理技術がないため除去に至っていない(東京電力ホールディングス, 2016)。
アース・リ・ピュアではセパテク®・マイクロバブルシステム(特許出願中)を開発し(図1(a):Tamura et al., 2014)、これまでため池底質の放射性セシウムを効果的に分離・除去することに成功している(田村・足立, 2015)。マイクロバブルは直径50μm以下の微細な気泡であり、浮上せずに水中に滞留してそのまま消滅する特性を持つ。セパテク・マイクロバブルシステムでは、空気を用いてマイクロバブルを発生させる。この場合には、気泡表面が負に帯電すると共に(Tak a-hashi, 2005)、消滅の際にフリーラジカルを発生することが知られている(Takahashi et al., 2007)。セパテク・マイクロバブルシステムはマイクロバブルのこれらの特性を利用し、汚染水中に直接バブルを発生させることで、正電荷を持つ有害な重金属イオンを浮上・除去するシステムである(図1 (b))。
Takahashi(2005)は低pH環境でマイクロバブル表面が正に帯電する事を報告しており、バブルの周囲にH+が豊富に存在する環境では、負に帯電するバブルの周囲にH+を凝集できる可能性を示唆している。今回はセパテク・マイクロバブルシステムを用いてトリチウムを含む汚染水の浄化に取り組み、良好な除染結果が得られたので報告する

 

 

膨大な量の汚染水、林立するタンク 処理は2年後に限界…福島第1原発

https://www.nishinippon.co.jp/item/n/589672/?page=2

 

 

「また風評」恐れる漁業者

 間近に立つと、巨大な壁に行く手を阻まれるような錯覚に陥る。東京電力福島第1原発の構内には、高さ、直径とも約12メートルの金属製タンク約千基が所狭しと並んでいる。

 汚染水は雨水や地下水が原子炉建屋に流入し、事故で溶け落ちた核燃料などに触れて発生する。構内の多核種除去設備(ALPS)で浄化して「処理水」とするが、放射性物質リチウムは除去できず残る。

 処理水をためるタンク1基の容量は、千~1300トン。処理水は1日で平均約170トン増えるため7~10日で満杯になる。

 この日も、クレーンでタンクの増設作業が進んでいた。東電によると、設置できるタンクの容量は計137万トン分だが、既に処理水約120万トンを貯蔵。2022年夏ごろには、新たに発生する処理水の行き場がなくなる計算だ。