なぜ、シュメール人、エジプト人は1000年生きたか〜賢者の石

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スターファイア(星の火)の謎 (その二)
神々の生命力の源泉“スターファイア”
 このアヌンナキ由来の、古代の王家の“純血”を保つ問題について、さらにガードナー/デヴィアは極めて奇想天外な推理を展開する。アダムやカイン以後、王権を神授された歴代の王たちも、代を重ねるにつれて、体内に流れるアヌンナキの優秀な遺伝子の血は必然的に薄まるしかない。そこでエンキ神は一計を案じた。妹に当たる“生命の女神”ニンフルサグの神聖な“月経血”から抽出されたエキスを、王権の継承者たちに定期的に摂取させて、アヌンナキの血が薄まらないように計った。
 それは異星人アヌンナキの生命力の最高の源泉であることから、“星の火”―スターファイアと呼ばれ、アヌの神官と称する古代シュメールの化学技術者(後世の錬金術師)たちが、その抽出処理を担当した。彼らはこのエッセンスを“神々の黄金”とか“女神の乳液”とも呼んで、非常に尊んだという。
 これは見かけほど奇異な製薬方法ではない、とガードナー/デヴィアは強調する。現代の医療現場でも、動物の胎盤や尿から抽出されたホルモン物質が、医薬品やサプリメントとして当然のように供給されている。
 生命の女神の“スターファイア”とはどういうものなのか。それを具体的に理解するには、人間の女性の月経血に含まれている松果体や脳下垂体から分泌されるホルモン類の機能を考えればいい、とガードナー/デヴィアは言う。たとえば松果体は、昔から特に謎めいた内分泌腺として知られている。大きさはせいぜいエンドウ豆大。額の真ん中のはるか奥、頭の中央部に位置している。松果体メラトニンセロトニンドーパミン等の神経ホルモンを生成・分泌して、脳の活動を調整する働きがあること、また、光の量の測定機能があり、体内時計の調節にも関わっていることなどが、近年の研究で分かってきた。
 とりわけメラトニンは、睡眠など生体リズムや成長メカニズムの調節、老化の防止、長寿、免疫力向上などの役割を担っている。語源であるギリシャ語のメロス(黒)とトソスが示すように、“夜働くもの”の意味がある。
 メラトニンが生成されるのも夜間か暗闇の中にいる時だけなので、“暗闇のホルモン”という異名さえある。
 古代ギリシアの哲学者たちは松果体を、思念の流れを調整する器官と信じ、17世紀フランスの哲学者デカルトも同じように考えて、松果体こそ精神と肉体を繋ぐ“魂の座”だとした。現代のオカルティストたちは、この松果体の機能と精神活動の活発化を結びつけ、厳しい修行や鍛練によって超常能力を発揮できるステージに達すると、「第三の眼が開いた」と称し、ヨガの行の場合なら、「(額の)アジナー・チャクラが開いた」ことに相当するだろう。
 人間レベルでこれなのだから、実際のアヌンナキ神族のスターファイア“神々の黄金”の効能にはそれ以上に計り知れないものがあったらしい。元々アヌンナキの血の濃い高貴の王統を継ぐ王たちが、さらにスターファイアを与えられて、“第三の眼”的能力、超人的な知力・体力、そして異常なほどの長寿を享受できたことは想像にかたくない。
 たとえば「創世記」に記されたアダムの直系子孫の寿命が、900歳台から150歳前後までと、代を重ねるにつれて縮まるにせよ、きわめて長命なのも神秘的誇張ではない、とガードナー/デヴィアは言う。その根拠として彼らは、スターファイアとして王たちが摂取したエッセンスには、不老長寿を促進する酵素として近年発見されて話題になっているテロメラーゼ、あるいはそれを体内で活性化する物質が含まれていたのでは、と推測する。
 このごく微量だが生命の維持にきわめて重要な酵素は、ちょうど靴ヒモの先に被せた金具みたいに、染色体の両端についているテロメアという塩基配列構造の部分が、細胞分裂の度に使われて短くなるのを、新たな塩基配列を追加して修復する働きをするので、テロメラーゼと呼ばれている。だが、あいにく人体では生殖細胞精子卵子)とガン細胞にしか存在していないため、ほかの体細胞のテロメアは一定の年齢に達すると擦り切れてしまい、その時点から老化が始まる。ただ、ガン細胞では活性化してその増殖を助けるからには、染色体のDNA構造の大部分を占める解読不能の“ジャンク遺伝子”のどこかに、テロメラーゼの生成遺伝子がオフ状態で眠っているはずとも考えられるだろう。
神人になるための物質“ホワイトパウダーゴールド”
 ゼカリア・シッチンの「地球年代記」理論によれば、アヌンナキ神族が地球から故郷の惑星に引き上げたのは、粘土板文字文書上の記録によれば、シュメール文明が崩壊した紀元前2000年前後のことだという。アヌンナキ神族の撤退は、同時にスターファイアの王たちへの直接提供がストップしてしまうことも意味する。王たちがこれからも高貴の王統を守り続けるためには、なんとしてもスターファイアに代わる代替薬剤が必要になった。実際のところ、これはさほど問題ではなかったようだ。エンキ神が“工芸名人”と名づけたスターファイア代替薬の開発を専門とする化学技術者グループが既に存在していたからだ。後世、錬金術師と呼ばれる職業集団である。
 旧約・「創世記」に登場するカインの末裔で鍛冶屋の祖とされるメソポタミアのトバルカインが、最初の一人という。また、紀元前15世紀のファラオ、トトメス3世がエジプトのカルナックで再建したという知恵・学問・魔法の神トートを崇める“工芸名人教団”も、そんな専門家集団だったらしい。
 ガードナー/デヴィアは、そのような工芸名人たちがスターファイア代替薬を開発した根拠として、聖書宗教の聖典や中東各地の神話や伝説中に、まちまちな名前で呼ばれているが、謎めいた不思議な物質がしばしば登場していると指摘する。
 そう言われて、多分誰もが真先に思い浮かぶのは、旧約・「出エジプト記」で、モーゼの一行がシナイ砂漠をさまよった時、神が降らせて彼らを飢えから救ったという奇跡の“マナ”だろう。マナは白くて、蜜入りのウェハースのように甘い味がしたが、なぜか食欲を抑制する効果があったという。
 驚くことにポリネシア神話や北欧神話でも、マナは超人的生命力、霊力、魔力などの意味がある。どうやらこの話は人類にとって普遍的なアーキタイプ(心理学的元型)の一つのようだ。だが、ガードナー/デヴィアの解釈は大分異なる。たしかに体内に摂取できる物質だが、マナは有機物ではなく無機物で、これから述べるように“石”と呼ぶ方がふさわしい特殊な金属物質だというのだ。
 同じ「出エジプト記」には“黄金のパン”という変な代物も登場する。工芸名人ベツアルエルが神の命令でこしらえた様々な金銀細工物の中にある“契約のパン”だ。
 聖書には神に捧げる“供えのパン”があちこちに出てくる。ガードナー/デヴィアによれば、“供えのパン”の原型は、“白い金の粉末”で作った“黄金のパン”だったというのだ。後で述べるように、この“白い金の粉末”―ホワイトパウダーゴールドは、普通の金や白金とも異なる、驚くべき特殊な物質なのである。古代エジプトでは、この不思議なパンは“シェッファ”と呼ばれ、白い円錐形のケーキとして、王朝時代のパピルス画や、壁面レリーフに登場している。
 ガードナー/デヴィアによれば、この白い金の粉末で作ったパンは肉体ではなく“光の体”―ライト・ボディ(霊体、精神体)用の食べ物で、このパンを摂取すると、ファラオたちの松果体と脳下垂体の働きが強化され、“第三の眼”が開かれて感覚、直感力、認識力の著しい高進状態に到達できたという。古代エジプトでは、この状態を「“光の軌道”に入る」と表現した。古代エジプト人にとって、“光の軌道”(光の次元)とは、ファラオが神として復活するオリオンやシリウスといった星の世界のことでもあった。
 そうしてファラオたちは、永遠に存在し続ける光体「KA」を活性化させる修練を積んだ後に、ピラミッド内の「王の間」で、肉体ごと消えて―文字通り星の世界へ昇天していったという。
 時代は前後するが、シュメール時代のメソポタミアでも、シェマンナ(シェム・アン・ナ)という物体が、シェッファと同様にホワイトパウダーゴールドで作られていた。
 シェムは「円錐」で、マナ(マンナ)に近い発音のアンーナは、“火の石”を意味する。シェムは“上に向かう”(高進する)の意味にもなり、合わせて「高進する火の石」は、ホワイトパウダーゴールドの性質をよく表している。ここで“高進する”とは、物理的にはエネルギーが増大し、精神的には霊性のレベルが上がる、といった意味だという。
錬金術の「賢者の石」は粉末だった
錬金術」は、英語でアルケミーだが、その語源はアラビア語の定冠詞アルが、ギリシア語のクメイア(金属を変成する、の意)の組み合わされたという説がある。
 いずれにしろ、錬金術を含めた古代エジプトの文化と科学が、まず古代ギリシアに受け継がれ、次いでローマ帝国公認後のキリスト教会から邪教の産物として弾圧された中世前半の暗黒時代(5~10世紀)、中東アラブ人たちのイスラム文化圏に引き継がれて守られたという歴史的経緯がある。既に述べたように、錬金術テクノロジーの真の起源は、人類最古とされるシュメール文明まで遡る。また、中国やインドの古代文明でも最古の時代から存在し、アラビア錬金術にも影響を及ぼしていることが、近年明らかにされつつある。
 どうやらこの問題は、ガードナー/デヴィアの主張を待つまでもなく、人類とその文明の発祥全体に深く関わっているらしいのだ。
 中世ヨーロッパの古典錬金術には、3つの主要目的があったという。―卑金属の貴金属への変成、万病を治癒させ不老長寿にする万能薬、そして人間生命の創造だ。その目的成就の鍵となる“賢者の石”は、まずアラビア語で“アリクシル(粉薬)”と呼ばれた。
 ここから中世ラテン語の“ラピス・エリキシル(粉の石)という呼び方が生まれ、さらにそれがヨーロッパ各国語で“賢者の石”とも呼ばれるようになり、以後は西洋錬金術の代名詞となった。
 誰もが知るように、近代合理主義の時代の到来と共に、錬金術の時代は終わりを迎える。鉄や鉛を金や銀に変えるなどということは、手品やトリックでなければ不可能だと分かって、錬金術の科学性が否定されるようになったからだ。現代の科学界は、錬金術といえば、化学の基礎となったことは認めているものの、近世以前の単なる似非科学と見なしており、メディアや一般でも、その用語は不正をして利益を得る手法とか、いかがわしいイメージをもって使われているのは周知の通り。
 だが、錬金術で言う“金”とは、これまで見てきたように、おなじみの普通の金ではなく、スターファイア代替薬としての特殊な物質だった、とガードナー/デヴィアは指摘する。
 ギリシア人哲学者たちが古代エジプトから学んだギリシア錬金術では、中世の“賢者の石”に当たるものが“楽園の石”と呼ばれていた。紀元前3世紀頃、エジプトは首都アレクサンドリアを中心に発展し、ギリシア錬金術の活動の拠点もここにあった。
 そこで書かれた『アレクサンドロス大王の楽園の旅』と題する文書に、次の記述がある。「“楽園の石”は、秤の上に置くと同量の金より重くもなれるが、加熱して粉末に変えると、羽根一枚にもかなわぬほど軽くなる」
 この世界に存在する通常の物質は、蒸発や昇華によって拡散消滅しない限り、重さがこれほど極端に変化することはありえない。金と比べているのだから、ただの金ではないことは確かだ。
 又、17世紀の大錬金術師アイレニウス・フィラレテスは、同時代のニュートン(自身も錬金術師だった)さえ尊敬される著名な哲学者だが、1667年に執筆した『暴露された秘密』の中で“賢者の石”の性質を論じている。
「この“石”の成分は金である。これ以上はない最高の純度と微妙な固さにまで精錬された黄金以外の何物でもない。固化する性質があるので“石”と呼ばれる。種類としては金だが、通常の純金よりはるかに純粋で、固化状態では火に強く、普通の石同様に燃えないが、外観はきわめて細かな粉状になる」
 卑金属を金に変えるもの、金でありながら金を超えるもの、さらに精錬によって白い粉へと変わるもの―賢者の石。マナ、シェマンナ、シェッファ、“神々の黄金”スターファイア、ホワイトパウダーゴールド――。いったいこの不思議な物質の正体は何なのか―。